第一話 幸福システム - 幸福指数 ―63点― | Bunshare | Bunshare← 幸福指数 ―63点―第一話 幸福システム
1ヶ月前更新
『国民幸福システム』
国民一人ひとりの思想、言動、消費行動、交友関係、感情を人工知能が解析し、幸福を百点満点で数値化する制度である。
政府は宣言した。
「幸福とは、国家への最大の奉仕である。」
労働のみが国家を支える時代は終わった。
国民、家族、国家、そして世界。
すべての共同体における営みを幸福として評価し、その総和を国家の豊かさとする。
近年、米国との宇宙開発競争の激化により、我が国は深刻な財政負担を抱えることとなった。
政府は国民の不満と社会的不安を未然に防ぐため、新たな国家基準を公布する。
「幸福度六十五点未満の者は、非国民と見なす。」
幸福度は、以下の五項目によって算出される。
国家貢献(就労・納税・社会奉仕)
家庭幸福(婚姻状況・子どもの有無・家庭環境)
精神安定(感情解析・思想傾向・SNS活動)
健康維持(疾病・生活習慣・医療負担)
将来貢献性(年齢・生産能力・国家への期待値)
未婚者は共同体への貢献不足と判断され、幸福度は大幅に減点される。
高齢者については、将来貢献性の低下に伴い幸福度が自動的に再計算される。
政府は、この制度について次のように説明している。
「真の幸福とは、生産性ではない。国家への絶対的な献身――すなわち、絆である。」
そして今日もまた、一人の国民の幸福度が更新される。
――63点。コメント (0)
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