第二話 五線譜の向こう側 - 夜明けのシンフォニー | Bunshare← 夜明けのシンフォニー第二話 五線譜の向こう側
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練習は放課後の音楽室で、週三回。最初の十分は決まって無言だった。
「もっと歌って」
陸の指示は毎回それだけで、具体的に何が足りないのかは教えてくれない。苛立ちよりも先に、悔しさが込み上げた。七海は指の運びよりも先に、自分の呼吸が浅いことに気づいた。
「……今の、少し良くなった」
ぽつりと落ちた一言に、思わず顔を上げる。陸は珍しく、譜面ではなく七海のほうを見ていた。長い前髪の隙間から覗く目は、思ったよりもずっと優しかった。
「本当ですか」
「噓ついてどうするの」
素っ気ない口調の奥に、たしかな熱があるような気がして、七海はそれ以上何も言えなくなった。窓の外では、夕焼けが五線譜のように空を横切っていた。コメント (0)
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