第二話 名前のない少女 - 記憶を売る店 | Bunshare← 記憶を売る店第二話 名前のない少女
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少女の記憶の中にあったのは、再開発で消えたはずの旧市街だった。
ノアが子供の頃に住んでいた場所だ。区画整理から二十年が経ち、地図上ではとうに存在しない。だが少女の記憶の中では、まるで昨日のことのように商店街の明かりが灯っていた。
「あなた、あの場所を知ってるんですか」
「知ってるも何も――僕はそこで育った」
少女は初めて表情を崩した。驚きと、どこか安堵が混じったような顔だった。
「じゃあ、覚えていてくれる人が、まだいたんですね」
その一言に、ノアは値段をつける手を止めた。この記憶は、売り買いするものではない気がした。コメント (0)
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