秋人が向かった先で見たのは、剣を交えるでもなく、ただ言葉を尽くして幼馴染を説得しようとする自分自身の姿だった。 「花守の刀は、抜かないことに意味がある。抜かずに、それでも守り抜くことに」 父の言葉を借りたその一言が、幼馴染の刀を下ろさせた。庭に戻ると、桜は変わらず満開だった。秋人は父の隣に立ち、初めて心から、この家に生まれたことを誇りに思った。 時代は変わっても、守るべきものを守り抜いた者たちの話は、静かに語り継がれていく。