竜歌学院の入学式で、ユーリは声を出すことができなかった。 平民出身者への視線は元々厳しい。その上、実技試験でまともに歌えなければ、除籍もあり得る。焦りで喉が締まっていくのが自分でもわかった。 「息を吐ききってから、吸うんだ。竜は、こちらの余裕のなさを一番先に聞き取る」 隣の試験台から聞こえた声に従い、ユーリは肺の空気をすべて吐き出した。もう一度、竜歌の最初の一節を口にする。今度は、喉の奥から自然に音が出た。 試験官の羽根ペンが、静かに紙の上を走る音がした。合格の証だった。振り返ると、声をかけてくれた赤髪の少女が小さく笑っていた。 「私はレナ。よろしく、平民の竜歌士」