第二話 十年前の雨 - 水底の証言 | Bunshare← 水底の証言第二話 十年前の雨
6日前更新
十年前のあの事件も、雨の日だった。
久我は当時の捜査資料を思い出せる限り書き出した。被害者の交友関係、事件当夜のアリバイ、そして解決を待たずに閉じられた捜査本部。日記に書かれていた名前は、その資料のどこにも載っていなかった人物だった。
「知り合いだったんですか、その人と」
依頼人の姉に尋ねると、彼女は少し間を置いてから、静かに首を振った。「妹から一度だけ、名前を聞いたことがあります。誰にも言わないでって、念を押されて」
久我は日記の最後のページに走り書きされた一文を、もう一度読み返した。
『あの人は、まだ許していない』コメント (0)
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