引っ越して三日目の朝、郵便受けに赤い折り紙の鶴が一羽入っていた。 差出人の心当たりはない。チラシの類だろうと葉月は捨てたが、翌朝には二羽になっていた。同じ折り方、同じ赤色の紙。誰かが毎晩、この郵便受けにだけ鶴を入れている。 管理会社に問い合わせても「そういう報告は他にありません」と言われるだけだった。 五羽目を見つけた夜、葉月は玄関の鍵をもう一度確認した。かけたはずの鍵が、わずかに緩んでいる気がした。 気のせいだと自分に言い聞かせながら、六羽目の鶴が届くのを、心のどこかで待っている自分にも気づいていた。